もう1匹の黒猫。
今飼っている黒猫はヤマトですが、もう1匹私の中で忘れられない黒猫がいます。
ナラを迎えて1ヶ月経った頃。
ナラは大事な社会化期に親兄弟と離れたため、加減を知らず噛み癖に相当苦労しました。
加えて1匹での留守番、ネコは1匹でも平気とは言われてますが、もう1匹いることで寂しさを紛らわせたり、刺激が生まれ、なにより私とナラの一対一より負担は減るなど色んなことを考え、もう1匹迎えることに決めました。
譲渡会では好きな柄のハチワレがいいなぁと実は思ってましたが人気があり、この子はどうですか、と3ヶ月の黒猫を勧められました。
抱きかかえるととても大人しく、かわいくて二つ返事で決めました。
真夏の暑い日にやってきました。
黒猫のオス、当時ナラと同じ生後3ヶ月、名前はロキ。
ナラと同じく家に来た時から威嚇なくスリスリゴロゴロ。
黒猫特有の甘えん坊で賢い子。
なにより前・後脚ともに長くて大きくて、獣医さんも驚かれ、大きくなりますねとお墨付き。
譲渡会ではシャイだったのに、家に来てからは手を焼く程のヤンチャさで驚きました。
威嚇ばかりのナラでしたが次第に距離は縮まり、ロキは女の子だからと手加減はせず日々追いかけっこやプロレスに興じてました。
そしてナラは私に噛み付くことは全くなくなりました。
お腹いっぱいになるとスーッと現れて膝にちょこんと乗ってくる。
ナラとの膝の取り合いして2匹一緒に膝の上で寝て、この上ない幸せを噛み締めました。
肌寒くなってきた10月下旬、2匹をいっぺんに抱きかかえたことがあったのですが、大きくなるナラとは逆に軽いロキ。
背骨もちょっと出てるし、よく見ると毛のツヤもない。
一緒に猫じゃらしで遊んでてもすぐに寝そべることも多くなった、呼吸が早い、と色々思い当たる節がありました。
ネットで症状を調べ、いくつかの予想される病気を覚悟。
動物病院へ相談しに行くと「FIPかもしれない」と、予想にしなかった病名でした。
つい最近FIPでネコを亡くした方のマンガを見たけれど…まさか、ウチの子が…?
ご存知ない方は調べていただくと分かると思いますが現在不治の病のひとつです。
エコー検査で胸水が溜まっており、抜いてもらいましたが黄土色のような色で、ただただ目の前で起きてること、病名が信じられませんでした。
検査をして後日の出勤前、病院から電話があり、検査の結果、限りなく黒に近いと言われました。
できることを考えて行きましょう、と先生は言ってくれましたが、それから仕事へ向かう足も重く、いつも使ってる電車は人身事故で暫く動かず迂回、私の感情を表してるかのように突然雨が降ってずぶ濡れになり、ボロボロでした。
家に帰るとロキはいつものように甘えて待っていて、できることをしよう、と決めました。
日に日に症状は悪くなり、少しの段差さえ登れず落下、あんなに元気だった姿は嘘のよう。
それでも私の膝に乗るのはやめず力を振り絞って登ってきました。
そんな日を何日か過ごし11月のある金曜の夜、帰宅したら危篤に陥り、一度痙攣を起こします。
目も黄疸で瞳孔が開いてる状態で、力も抜けていました。
腕で抱き、「ロキ、大好きだよ」と言うと、力を振り絞って鳴いてくれました。
布団の横にロキを寝かせましたが、疲れ果てた私は朝まで寝てしまいました。
慌てて起きるとすでに冷たくなっていました。
過ごせたのはたった3ヶ月、生後6ヶ月のいのち。
謝ることしかできませんでした。
予め寿命が決まっていてもこうして私の元へ来てくれたこと、必ず意味はあると思います。
ロキが来てくれたことで感謝したことはたくさんあり、1番は黒猫が大好きになったことです。
生きていたら1歳、どれくらい大きくなっていたのか、見たかったです。